石灰岩と言う岩石があります.

 

 下の写真は何かわかりますか??

 これは,沖縄で撮った写真です.何を見ていただきたいかと言うと,石の写真です.石材にしているもので,切り取った後がわかります.これはビーチロックと呼ばれているものです.で,この写真で言いたいことは,普通の海岸と比べてください.砂浜と言われている海岸は,常に砂が動くような状態で,砂遊びができます.ところが,ここは硬い岩石になってしまっています.このような,ビーチロックができるのは暖かいところに限られているそうです.別に古い岩石が露出しているのではありません.コカコーラの瓶がこの中に閉じ込められていたこともあるそうな...石灰質(化学組成はCaCO3)の鉱物の結晶化によってかたまるのでした.石灰質の成分は非常に早い時間で変質を繰り返すことができるのがお分かりいただけますか?

 よく,海岸で拾ってきた砂は水槽に使ってはいけないと言う話を聞きます.あるいは白色系の石が水槽には良くないと言われています.これは,貝殻等のCaCO3の成分を持った物質が混ざっているからです.このCaCO3の成分からなる鉱物は一般に白色です.石英も透明から白ですが,その様な鉱物は水質を大きく変化させることはありません.気をつけなくてはいけないのは,石灰質のものです.



 こんな石もあります.これは方解石と言う石で,CaCO3の再結晶化によって作られたものです.見ての通り,真っ白け!つまり,この手の石を使うと...どうなるかを知っておけば良いわけです.CaCO3の化学成分を持った石は水に入れると,アルカリに傾けます.また,単純なCaCO3と言うより鉄やマグネシウムに富む場合も多々あります.こう言った成分を判別識別するのは本当に難しいと思います.従って,石灰質成分はペケ!にしておくのが無難です.思うに,性質の変わりやすい石=水に成分が溶け出しやすいと考えるべきですね.CaCO3は多形と言いますが,同じ成分で複数の鉱物になります.例えば,貝殻はアラレ石と言う鉱物ですが,変質すると方解石に変わっていきます.この現象はまさに,水の中の成分を変えやすいと言えます.

 良く,アルカリに傾いた水を好むシークリットなどに珊瑚砂を使います.まさに,珊瑚砂がCaCO3成分からなる石=アルカリに傾けてくれるという事です.炭酸塩岩(石灰岩と言う方がわかりやすいかも)というのは,このような炭酸カルシウムからなる鉱物を多く含むものを言います.石灰岩はその代表的な岩石の一つです.”石灰”やセメントの材料として有名です.

 さらに話は進んで行きますが,大理石と言う言葉はよく耳にすると思います.大変高価な石の一つです.大理石の形成は石灰岩が変質してできたものというのをご存じでしょうか?地球の長い歴史は不安定な成分も安定な成分に変えていきます.大理石が高級な建材として使われていることは良くご存じだと思います.もし,水に溶け出すような鉱物であれば,とても高級な建材とはなり得ません.つまり,大理石は大変に安定な鉱物の集合体と言えます.この様な石は水槽のオブジェとして使うのは可能です.特に化石の入り込んだ石を水槽内で使うのはおしゃれであると言えますね.

 さて,結論ですが...

石灰岩というのは生物の作り上げた神秘的な石です.生物はサンゴであったり,もっと昔に絶滅したCaCO3成分の殻を持つ生物であったり,あるいは貝殻であったり...この様な中身(外見も)が多様な石は他にはありません.これを使うときの注意点は,十分に変質したあとかどうかを見極めることです.それは,硬さであったり,色付きであったりいろいろを総合的に判断しましょう!また,石灰岩が形成された年代なども重要な判断材料になります.もし,その手の石で産地が分かっていれば調べることもできます.メイルなどでも結構ですので,お問い合わせください.で,最終的には石灰岩を使う前には水質変化のチェックはしましょうね.急激な変化を起こすような石は入れてはいけません.