麦飯石って何?

 

 あまり,放置しておくとずーと未完成のまま終わってしますので,取り敢えずアップして,手直しを加えていこうと思います.

 いよいよ話が進んでいきます.今回の話題は皆さん,興味のあるところかと思います.濾材の代表的な存在として知られる麦飯石って一体,何者でしょうか??効力としては,活性炭に近いもので,活性炭よりも長持ちという印象を私は持っています.で,「麦飯石って何??」と聞かれても,本当は知りません.これは石の名前では存在しないのです.今回の話は私の想像も含まれていますので,必ずしもあたっているとは考えないでくださいね.でも,正解に近いと思っています.

 いわゆる麦飯石と呼ばれているものは中国のある産地から取れる石英斑岩と言う岩石であると言われています.言葉通りにとると,石英質の斑晶のある岩石である花崗岩と言うのが有力です.あるいは石英閃緑岩であろうと思っています.で,水をきれいにする効果があるので,中国では有り難く使われているのではないかと思います.その外見から麦飯石という名がいつの間にかついたんだと思います.つまり,本当は麦飯石と名乗って良いのはこの産地で取られる岩石のみです!これ以外に同じ効力を求めるのは,既に間違えています.しっかし,中国というお国柄か,残念ながらいくつかの産地があるようです.また,日本国内では岐阜県にあると言われています.個人的には,この様な俗名をいろいろな岩石に付けるのはナンセンスそのものと考えます.その理由は麦飯石と名乗る偽物があっても誰も判別できません.もし,産地をきちんと限定して,それを麦飯石と呼ぶとすれば,もし偽物が出てきても成分を分析すれば必ず分かるはずです.現状の麦飯石の使い方は,この名前の岩石の効力が一定でないと言うことを使う方が理解しなくてはなりません.もし,ある麦飯石が効力があったので,他のメーカーのものに同じ効力を求めるのは間違いです.その点は,使う我々が理解しておくべきことです.また,逆に変な名前の似たような岩石の方が効力が高いということも有り得ます.

 さて,では麦飯石は本当に効力があるんでしょうか??良く言われているところから考えてみましょう.岩石の多孔質で有害な細菌や塩素,アンモニアなどを吸着除去してくれるそうです.これは,花崗岩全般に同じ傾向があると考えるべきでしょう.電子顕微鏡で見ると微細な孔が無数にあるのは,当たり前であると考えます.次に,珪酸塩,酸化アルミニウム,鉄,マグネシウムなどいろいろな元素を含むこと,つまり多数の鉱物が含まれていて,これらは水に溶け出します.岩石の特徴からすると,珪酸塩成分が多いかと思います.ご存じの通り,河川や池に流れ着く水は,雨水が地下を流れてその中で浄化されたり,逆に天然成分を付加されます.良く,地域によって水の成分が違うと言われますが,それは地下水の流れている場所,つまりは地下の岩石の構造に支配されていると考えるべきでしょう.とすると,普通の花崗岩と麦飯石と呼ばれている岩石の違いは皆無と考えても良いと思います.では,言われている特徴で特記しておくべきことは何でしょうか?麦飯石はジルコンを多量に含み,ジルコンは遠赤外線を放射すると言うあたりかも知れません.さて,これは水槽の水にどの様な影響を与えるのでしょうか??調べてみたいとは思いますが,あまりはっきりと答えを出せそうにありません.

 私の想像ですが,この様な効果よりもむしろ,その中に含まれる鉱物中で特殊なものが水をきれいにする効力を発揮します.おそらく,それは沸石属(ゼオライトの方が通りが良いかも)の一部と考えます.この様な鉱物は岩石中のほんの一部です.ゼオライトというのは,水をきれいにする効力が高いことは古くから知られていました.私はこの鉱物は水を出し入れする不思議な鉱物と言う言い方をしています.ミクロの世界で見ると,出し入れする水の中の悪い成分を吸着できるような鉱物が,麦飯石にも含まれているわけです.似たような面つきをしているから麦飯石と呼ぼうなんて言うのは全くのまやかしです.その様なものを売りつけようとするメーカーがあってはなりません.何度も書きますが,いろいろな産地から麦飯石が採れてはいけないというのが私の考え方です.もし,似た成分があるとすれば,別名で呼べばよいのです.既に遅いとは思いますが...

 信じるものは救われると言いますから,本当に良いものに当たった方は,ラッキーと思ってそれをお使いください.私の文章は麦飯石そのものを否定するつもりはありません.ただ,真は一つであって欲しい.そして,それによってユーザーは騙されることが無くなると思っているだけです.良いと思った場合には,なるべく同じメーカーのものを使いましょうね!もう一つ,麦飯石の溶液が販売されているのは良くご存じかと思います.どの様にして作るかは知りませんが,岩石が粉砕されて非常に細かくなった状態で水に溶け込まされているものと考えます.粒の細かい粒子は水に溶かされると沈むのに時間がかかるのはご存じでしょうか?麦飯石溶液の白濁が一気に落ちるのは粒子の大きさがほぼ一定であるためと考えます.良く,麦飯石の溶液がインペラ部分を傷めるという話を聞きますが,まさに粉砕された岩石がそれより硬度の低いものを傷つける現象であると考えます.でも本当に細かいと思いますので,そんなに激しくは破損しないと思いますよ.使っている方は,心配する必要は低いと思います.ただ,人為的に粒子を加えなければあの様な白色の水は作り得ません.自然の状態であの様な溶液ができると考えるべきではないと思います.>>否定される方は是非,メイルにてご一報下さい.で,結局私はこの溶液の効力を次の2つと思っています.1つは先に書いた鉱物の吸着能力,これは多孔質と言うのにも関連しますが,活性炭の数倍?!はある吸着部に非常に細かい有害な細菌や塩素,アンモニアなどが除去される.さらに,泥質な物質の互付着力(言葉は正しくないと思いますが,お互いにくっつこうとする力)による少し大きめな有害物質の吸着後の沈下現象で水が濾過されると考えます.後者は普通の麦飯石では得られない,溶液ならではの効果と考えています.

−ジルコンについて−

 遠赤外線がでるのかどうかは分かりませんが,ジルコンについて簡単に説明します.ジルコンの化学組成はZrSiO4で,珪酸塩鉱物の一種である. ジルコンの結晶は正方晶系であり,正四角柱の結晶として産することが多い.花崗岩質の火成岩に普遍的に含まれると言われており,まさに麦飯石に含まれていると考えて良いであろう.化学反応性が低いため結晶の溶解速度が小さく,地質学的な変成にも強いために放射年代測定に使うことができる.放射年代測定と言うのは,ジルコンに含まれるウランの放射崩壊を利用して絶対年代を決めてあげることです.絶対年代とは数字で年数を出すことです.ジルコン中のZr4+とU4+, Pb2+との間の置換されやすいとされており,少量ながらウランが含まれるわけです.それを利用して放射崩壊した量を測定します.この,放射崩壊は非常に長い年月がかかりますので,この効果が水に良いとすれば,ほぼ半永久的と考えて良いでしょう.